不動産投資で大切なこと


■デッドクロス(元金返済と減価償却の関係)

税金の計算上の所得(損益計算書)は黒字でも、

キャッシュフロー計算では赤字になる現象。

 

デッドクロスについてみていきましょう。

 

帳簿上は黒字なんだけど、

現金は無いんだよね・・・といったパターンです。

 

なぜデッドクロスが起こるのか


実際にお金の支払いは無いけど

経費に計上することができる「減価償却費」の額と、

 

その反対で、

実際にお金の支払いは有るけど

経費に計上することができない「元金返済」の額が、

 

年数の経過によって逆転することが原因です。

 

 

アパートマンションなどの収益不動産は、

保有期間の経過とともに

経費として計上できる「減価償却費」が減少します。

 

そして、

借入金の支払いが進むにつれて、

「元金返済」の割合が増えていきます。

 

よって、

税引き後のキャッシュフローも減少してしまいます。

 

 

新築当初は「減価償却費」のほうが

「元金返済」より多い為、

 

所得税の計算上、

経費になる金額が多くて有利になりますが、

年数の経過とともに逆転現象が起こります。  

 

 

「元金返済」のほうが

「減価償却費」より多くなってしまい、

 

所得税の計算上、

経費になる金額が少なくなり、

 

家賃収入は変わらないのに

所得税が増えてしまう現象が

起こるケースをよく見かけます。 

 

 

この現象を図で表した場合の

「減価償却費」と「元金返済」の線が

交わる点を「デッドクロス」といいます。

 

 

相続税の節税の為に行った

アパートマンション経営なのに、

 

デッドクロスが起こる事で、

税引き後のキャッシュフローがマイナスになり、

 

相続税の納税資金が

どんどん減っていってしまっている

というケースもありますので注意が必要です。

 

 

不動産投資を始めた当初は

黒字のキャッシュフローが続き、

お金が手元に残る状態だったのに、

 

ある一定の期間が過ぎた途端に

手元にお金が残らない状態

(キャシュアウトフロー)になってしまい、

 

不動産の賃貸経営の収支が

とても厳しくなるケースもあります。

 

 

デッドクロスで困らないようにする為にも、

 

「元金返済」と「減価償却」の関係を知っておき、

 

しっかりと対策を考える必要があります。

 

 

減価償却について知る


所得税の計算に使われる

「損益計算書」では

減価償却費を経費として計上することができます。

 

 

賃貸経営を行う上での減価償却とは、

所得税の計算をする際に、

 

建築費用(購入費用)を

事業開始の初年度に

一括で経費計上をするものではなく、

 

 

決められた期間で、

決められた金額(率)を

 

経費として計上することが認められているものです。

 

 

建物や設備は、

時間の経過とともに価値が減少していき、

 

その減少分を決められた期間で

経費として計算するといった具合です。

建物の減価償却は、

建物部分と設備部分に分けて

償却することが可能です。

 

おおまかに

「建物7:設備3」に分けられることが多いです。

 

 

建物の部分については、

構造によって年数が定められています。

 

鉄筋コンクリート造なら47年。

 

設備部分は、

設備の種類によって異なりますが、

給排水設備なら15年。

 

これらの期間をかけて減価償却をしていくといった感じです。

 

 

定額法で計算した場合


例えば、

鉄筋コンクリート造で

 

設備部分が15年、

償却方法が定額法の場合

 

建物部分は47年間、一定の金額で減価償却します。

 

設備部分は15年間、一定の金額で減価償却します。

 

15年が経過するまでは、

建物と設備の両方の減価償却を

経費として計上できますが、

 

 

15年経過後は設備部分は無くなり、

建物部分のみ減価償却していくことになります。

 

47年経過後は建物の減価償却が終了し、

以後は減価償却できません。

 

 

定率法で計算した場合


例えば、

鉄筋コンクリート造で

 

設備部分が15年、

償却方法が定率法の場合

 

定率法は、

一定の率で減価償却をしていくので、

事業開始の当初から減価償却を

多く計上できることになります。

 

この方法が選択されることが多かったですが、

今から購入する物件は定率法は選択できず定額法しか使えません。

 

減価償却まとめ


設備部分は耐用年数が短い為、

早い期間で多く経費に計上することができます。

 

 

その為、

設備部分の耐用年数の期間内は、

所得税の計算に使う

「損益計算書」上の所得から

経費として差引くことができる金額が多くなります。

 

結果、

税引き後のキャシュフローが多く残ります。

 

 

実際にお金の支払いは無いけど

経費に計上することができる「減価償却」

 

永遠に計上したいものですが、

そうはいきません。

 

 

減価償却には期間があります。

 

 

期間の経過とともに

減価償却できる費用が減少していきますので、

 

ある一定の期間を過ぎると

節税効果がなくなることもあります。

 

 

いつ、効果が無くなるのか、

その為には何を準備しておいたらよいのかを考えておくことが大切です。

 

 

元金返済について知る


不動産を銀行融資によって

借入した場合の返済額の内訳は

元金と利息になります。

 

一定の部分が金利、

一定の部分が元金で、

この合計額が返済額になります。

 

通常多く利用されている

元利均等返済の場合

 

当初は、

金利の支払い部分が多いですが、

 

期間の経過と共に残高が減っていって、

元金部分の返済金の割合が多くなります。

 

 

借入当初は

「金利の支払いが多くて、元金の支払いが少ない」といった状態ですね。

 

 

 

そして、

所得税の計算に使う「損益計算書」において、

 

金利と元金の大きな違いは、

 

金利は、

お金の支払いがあって、経費に計上できる。

 

元金は、

お金の支払いがあるのに、経費に計上できない。

 

 

返済期間が進むにつれて

元金部分が増えて、

経費計上できる金利部分が少なくなるので、

キャシュフロー上不利な状況になります。

 

 

このように、

借入金の返済額の動き、

金利と元金の動きを把握しておくことが大切です。

 

元金返済と減価償却の関係


繰り返しになりますが、

 

減価償却というのは、

実際にお金の支払いは無いけど

経費に計上することができるもの。

 

 

元金返済というのは、

実際にお金の支払いは有るけど

経費に計上することができないもの。

 

 

この2つの動きを

同時に見て考える事は、とても重要です。

 

 

事業開始当初は、

減価償却の方が元金返済より

上回っていますが、

 

ある時期を超えると、

元金返済のほうが上回ります。

 

 

減価償却のほうが上回っている期間は

税金上有利ですが、

 

ある時期を超えて

元金返済のほうが上回ってくると

税金上不利な状況になります。

 

 

この元金返済と減価償却の線が

交わる点が「デッドクロス」です。

 

 

経費にはなるが

実際の支払いはない減価償却費が年々減り、

 

 

経費にはならないが

実際の支払いのある元金が年々増えることで、

 

 

税金の計算の損益計算書では黒字だが、

キャッシュフロー計算では赤字という減少が生じるという訳です。

 

 

デッドクロスは、

設備部分の減価償却が終わるときにやってきます。

 

 

新築の場合、

 

デッドクロスは

設備部分の減価償却が終わる時期、

 

10年~15年で起こることが多いです。

(償却方法にもよりますが)

 

 

当初キャシュフローが黒字の人でも、

デッドクロス以降はキャシュフローが赤字になって、

お金がでていく状態になったりします。

 

 

更に困ったことが・・・


設備の減価償却が終わる、

10年~15年が経過したときに、とても重要なことが待ってます。

 

建物や設備の大規模修繕です。

 

課税所得は増えていて、

税引き後のキャシュフローは

が少なくなってきているのに、

 

 

ここにきて、

大規模修繕というイベントが

賃貸経営をさらに厳しいものにさせます。

 

 

デッドクロスになる前の期間に

お金を貯めていないと、

 

その後の対応や

大規模修繕を行うことが出来なくなってしまいます。

 

 

大規模修繕を先に延ばすと、

入居率が悪くなり、

その結果家賃収入が減り、

さらに賃貸経営が悪化することになります。

 

悩ましい問題ですね。

 

税金などの支払いが増えて、

収入は減るという悪循環になってしまいます。

 

悪循環は防げます!


デッドクロスが起こることを知らずに、

経費計上が多くできて、税金上有利な期間に

 

手元に残ったお金を他に使ってしまい、

大規模修繕の為の貯蓄がない。

 

そんなオーナー様も結構多いです。

 

 

しかし、これは予測できることです。

 

デッドクロスが起こる時期は、

賃貸経営をスタートする時点で

ある程度予測できます。

 

なにも特別なことではありません。

 

事前に予測して、

計画を立てておくことをお勧めします。

 

収益不動産で大切なこと


 収益不動産は、出口を迎えて

ようやくその投資が良い投資だったのか、

マイナスだったのかといった結果が出ます。

 

購入する前はもちろん、運営中も出口を意識して計画していくことが大切です。

 

CPM®(米国公認不動産経営管理士)

(有)丸浜不動産

高山幸也

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