アパートやマンションなどの収益不動産物件の広告を見ていると、
「表面利回り」という文字をよく見かけます。
実はこの「利回り」
いくつかの種類があります。
今回は、投資分析に大切な「利回り」についてお伝えします。
収益不動産の初期の投資分析をする際に用いられる「利回り」
代表的なものは以下の3つです。
① 表面利回り
② ネット利回り(実質利回り)
③ FCR(総収益率)
まずは、「利回り」についての説明の前に、
収支内訳(キャッシュフロー)から見ていきましょう。
まず、家賃が入ってきて
空室損や運営費を差引いたものが営業純利益(NOI)
そこから、借入金の返済金である
年間負債支出(ADS)差引いた残りが
税引き前キャッシュフロー(BTCF)です。
このお金の「流れ」を見ながら、考えていきます。
年間で入ってくる家賃収入を物件の価格で割り戻したもの。
ここでは分かりやすく
総潜在収入(GPI)を収入して計算します。
【計算式】
年間家賃収入÷物件価格×100
仮に、年間家賃収入が100万円あって、
物件価格が1,000万円だった場合
100万円÷1,000万円×100=10%
表面利回り10%
これが、
一般的に言われている「表面利回り」というものです。
先ほどの「表面利回り」よりは、
もう少し現実の収支に近づいて計算されたもので、
「実質利回り」とも表現されます。
表面利回りとの違いは、収入金額になります。
ここでは、
ネットの収入=実質の収入として計算します。
キャッシュフローツリーの中の、
営業純利益(NOI)を物件価格で割り戻します。
【計算式】
営業純利益(NOI)÷物件価格×100
仮に、年間家賃収入が100万円あって、
空室リスクや運営費等を差引いた、
営業純利益(NOI)が80万円。
物件価格が1,000万円だった場合
80万円÷1,000万円×100=8%
ネット利回り8%
このようになります。
実は、①と②は同じ家賃収入で
物件価格も同じという設定で計算しました。
年間に入ってくる家賃が100万円
価格が1,000万円といった同じ物件でも
表面利回りの場合は10%
ネット利回りの場合は8%
違いがでましたね。
よし、これからは「ネット利回り」で計算しよう!
と思われた方も多いと思いますが、
もう少しお付き合いください・・・
実は、
もうひとつお伝えしい「利回り」があります
FCR(フリーアンドクリアリターン)といった投資指標で、
上記①②との違いは、
諸経費も含めた「総事業費」を使うところです。
収益物件を購入するときには、
登記料、取得税、仲介手数料などの経費がかかります。
FCRでは、
不動産購入時に必要となる「諸経費」も含めて計算します。
全額自己資金の場合の初年度利回りとも呼ばれています。
(全額現金で購入した時の利回り)
【計算式】
営業純利益(NOI)÷(物件価格+諸経費)×100
仮に、次のような条件で物件を購入したとします
これを、図で表すとこんな感じになります。
キャッシュフローツリーは、
今まで計算してきた物と同じとして、
年間家賃収入が100万円
空室リスクや運営費等を差引いた残りの
営業純利益(NOI)が80万円とします
FCRの計算式は
NOI÷(物件価格+諸経費)ですので
80万円÷(1,000万円+100万円)×100=7.27%
FCR 7.27%
上記②で計算した
「ネット利回り」よりも厳しい数字になりました。
しかし、
実際には諸経費も必要となりますので
こちらで計算した数字の方が
本来の物件の力に近づいた数字だと言えます。
不動産広告に記載のある
「表面利回り」だけで判断するのではなく、
このような「FCR」で、
物件の実力をみて投資判断をすることが重要です。
収益物件の初期分析は、FCRで判断する
今回の事例計算結果
「とにかく利回りの高い物件が欲しい!」
といったリクエストを頂戴することがあります。
利回りが高いという事は、リスクが高いという事です。
利回りが高いほうが
良い投資物件と思われがちですが、
実は、利回りを高くしないと売れない
といった理由もありますのでご注意を!
収益不動産は、出口を迎えて
ようやくその投資が良い投資だったのか、
マイナスだったのかといった結果が出ます。
購入する前はもちろん、運営中も出口を意識して計画していくことが大切です。
CPM®(米国公認不動産経営管理士)
(有)丸浜不動産
高山幸也
賃貸物件の空室、募集条件、物件条件、設備、管理、運営コストなど、賃貸経営にお悩みのオーナー様。
CPM®(米国公認不動産経営管理士)の資格取得者である私(高山幸也)が、あなたの不動産の現状分析を行い、課題を見つけ、改善の手伝いを行う「不動産コンサルティング」を行っています。
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