数字で見る不動産投資


■キャッシュフローツリーとは


賃貸物件の不動産投資では、その物件から利益は出ているのかどうか、とても重要です。キャシュフローツリーは、その不動産投資が稼げているかどうか、お金の流れを確認するための表で、投資分析の基礎になります。これを使って、いろいろな不動産投資の指標が計算できますので、覚えておきましょう。

 

確定申告は、実際に出費のない減価償却費が入っていたりして、帳面上の収支を計算しているもの。あくまで「税金を納める為の計算」といった立ち位置だと思ってください。

 

ご自身の不動産投資が利益を上げているかどうか確認するには、実際に入ってきた家賃から、外部への支払いを差引いて残ったお金はいくらか知る必要があります。このお金の流れを表にしたものが、キャシュフローツリーです。

■キャシュフローツリーの全体像


 

①「総潜在収入」今、募集して満室となった場合の年間家賃の合計。現在の空室、実際の家賃が高い低い、滞納などは考えません。

②空室リスク、未回収損(滞納)を考慮して差引き。

③「実行総収入」家賃から空室などのリスクを差引き。

④「運営費」物件を維持運営するのに必要な経費。

⑤「営業純利益」家賃収入から空室リスクや運営費を差引き。

物件が稼ぎ出す実際の収入で、ネット収入、正味の収入などと言われ、本来その物件が持っている実力になります。

⑥「年間負債支出」借入がある場合、年間の返済額(元本と利息)を差引き。

⑦「税引き前キャシュフロー」税引き前の手残り金額。

ここから、所得税や住民税を支払って残ったものが、手取りとなります。

 

■キャシュフローツリーから分かること


【黒字・赤字が一目瞭然】

計算した結果の⑦「税引き前キャシュフロー」がマイナスだったら赤字を意味します。借入金の返済額よりも物件が稼ぐ力がないということです。

【より正確な投資利回り計算が可能】

一般的に、不動産投資の利回りというと「満室想定家賃÷売買金額」で計算していると思います。しかし、⑤「営業純利益」を使うことによって、空室リスクや運営費が加味させるので、物件の持つ本来の実力に対する利回りを把握することができます。従って、予想外の経費がかかり、思っていた利回りを確保できないといったこと等が事前に分かります。

【借入の安全性を確認】

⑤「営業純利益」と⑥「年間負債支出」のバランスをみることによって、借入の安全性である負債支払安全率(DCR)を確認することができます。

【どのくらいの空室に耐えられるか】

①「総潜在収入」に対する④「運営費」と⑥「年間負債支出」の割合により、不動産投資の損益分岐率(BER)が分かります。1棟なら年間の最大稼働室数、区分マンションなら年間の最大空室日数が見えてきます。